業務範囲外の作業をさせられる
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編集チームより
歯科医院に勤務する歯科衛生士は、さまざまな業務に従事することになります。しかし、その内容が歯科衛生士の業務範囲外であった場合、悩みや転職を考えるキッカケになることもあるようです。なぜこのような状況に陥るのか、その原因と対策について考察してみました。
歯科衛生士の業務範囲外の作業
法で規定された範囲を超えた業務
歯科衛生士の主な業務は「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保健指導」で、これは歯科衛生士で定められている３大業務です。
その他に知っておきたいものに、「絶対的歯科医行為」と「相対的歯科医行為」があります。
業務範囲外である「絶対的歯科医行為」
絶対的歯科医行為とは、歯科衛生士法で定められた業務範囲外の作業です。この作業に関しては、いかなる場合であっても歯科医師以外は行うことができません。
その作業には、歯牙の切削・抜糸、麻酔注射、クラウンやインレーといった補綴物の装着、レントゲン撮影などが挙げられます。
この中でしばしば見受けられるのが、レントゲン撮影です。撮影室への患者の誘導・フィルムの位置づけなどは衛生士が行っても問題ありませんが、ボタンを押して撮影を行う作業は絶対的歯科医行為に該当。
しかし、人手不足や業務過多といった理由から、この作業を歯科衛生士が行っているケースは少なくありません。
歯科衛生士が絶対的歯科医行為を行った場合、歯科衛生士法違反に問われる可能性があります。責任問題やリスクの重さに耐えきれず、転職を考える歯科衛生士もいるようです。
歯科医師の指導のもとで可能な「相対的歯科医行為」
相対的歯科医行為に該当するのは、歯石除去、ホワイトニング、表面麻酔薬の塗布、歯周組織検査など。これらの作業は、歯科医師の指導のもとで行うことができます。
歯科衛生士が単独で判断して行うことはできないため、注意が必要です。
受付業務
人員の少ない歯科医院では、歯科衛生士が受付を兼任していることがあります。来院した患者さんの受付や誘導、電話対応、カルテ管理などを行いますが、歯科衛生士としての業務と兼任するとなると、途中で仕事を中断しなければなりません。
忙しいと、受付業務ばかりに時間を取られて本来の仕事に集中できなくなる…といったケースも見られます。
歯科材料・消耗品などの在庫管理
診療に用いる材料・消耗品の在庫管理は歯科衛生士が適任と思われがちですが、在庫を逐一チェックし、発注をかけるといった業務は思った以上に手間と労力がかかります。
また、材料や消耗品だけでなく、院内清掃に使用する洗剤や道具、事務用品の管理なども任されるケースがあります。
業務範囲外の作業はなぜ発生するのか
スタッフ数が少ない
個人経営の歯科医院は総じてスタッフ数が少なく、歯科衛生士がさまざまな業務を兼任していることがあります。
受付スタッフや歯科助手がいない場合は、歯科衛生士の業務範囲外の作業が増えてしまうため、本業まで手が回りにくくなるのです。
院長の価値観・方針
院長をはじめとする歯科医師の中には、歯科衛生士を歯科助手と同じような立ち位置で考えている人がいます。
「歯科衛生士は受付までやるべき」と考えているケースもあり、こういった経営者のもとでは歯科衛生士本来の仕事に従事しづらくなります。
院内の風習
「これまで勤務してきた歯科衛生士は受付や雑務も行ってきたのだから、これから働く人たちも同じようにするべき」という院内の風習ができあがっていると、当たり前のように業務範囲外の作業をまかされるようになります。
「業務範囲外の作業の多さ」を解決するための方法とは
引用元：医療法人社団 徳治会採用ページ https://recruit.tokuji-kai.or.jp/
体制づくりに取り組み続ける
医療法人社団徳治会は熊本にある歯科医院グループです。「自らと周りへの貢献」という企業理念をもとに、すべてのパートナー（所属スタッフ）にとって働きやすい環境・体制づくりを徹底しています。そんな徳治会では歯科衛生士の悩みをどのように考えているか、聞いてみました。
スタッフを増やす
受付専門のスタッフや歯科助手などを増やし、歯科衛生士本来の業務に集中できる環境を作ることで、状況の改善が期待できるようになります。
ただ、歯科衛生士の一存でスタッフを増やすことはできません。院長にかけあい、人員を増やすメリットについて理解してもらうようにしましょう。
各スタッフの業務範囲を明確にする
歯科医師の仕事、歯科衛生士の仕事、歯科助手や受付の仕事など、各スタッフの業務範囲を明確にすることも効果的です。
ただし、だからと言って「これは助手や受付の仕事だから」などと、忙しいときに手を貸さないのはNG。状況を見て、柔軟にフォローに入る姿勢も大切です。
徳治会に転職した歯科衛生士の声
50代女性／勤続4～5年／転職3回以上
歯科衛生士の仕事以外を任されることが多く、疲弊していました。私の手術と術後の体調の関係もあり、訪問診療に力を入れてる所に行きたかったことから徳治会を選びました。院長がとても理解を示してくださる方で、歯科衛生士の仕事に専念できる環境をつくってくれています。
50代女性／勤続10年以上／転職3回
歯科衛生士の仕事になかなか集中できず、スキルアップやキャリアアップのイメージが持てませんでした。院長や同僚との人間関係に悩むことも多くあり、転職を決意。徳治会では院長や本部への相談がしやすく、悩み事にも解決策をみいだすことができました。
編集チームより
歯科衛生士としての業務に集中し、やりがいを感じるためには、受付・事務スタッフ・歯科助手といった、それぞれのポジションの専属スタッフが在籍している歯科医院を選ぶと良いでしょう。
人員が豊富な歯科医院では業務範囲外の作業をさせられることも少なく、歯科衛生士としてのスキルアップ・キャリアアップに専念できる体制を整えています。歯科衛生士としてやりがいを感じながら仕事をしたいと考えているのであれば、就職・転職先のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。